iPhone13
今年も新しいiPhoneが発表された。予想通り、名前は「iPhone 13」シリーズ。デザインも現行モデルであるiPhone 12シリーズを踏襲し、カラーリングを一新したものになった。
毎年新製品が出ると議論になるのが、「Proを買うべきなのか、そうでないのか」という話だ。
結論から言えば、iPhone 13世代における筆者の意見は「Proは前世代以上に“プロに特化”してきたので、スタンダードモデルを選ぶ人も増えるだろう」ということだ。
iPhone 13シリーズの直販価格は、iPhone 13 miniが8万6800円から。iPhone 13は9万8800円から。プロ向け上位機種のiPhone 13 Proは12万2800円から、iPhone 13 Pro Maxは13万4800円からになる(いずれも税込)。
両者の違いをあらためて分析してみよう。
カメラにこだわる「Pro」、13世代ではさらに先鋭化
iPhoneの歴史を振り返ってみよう。
2014年に登場した「iPhone 6シリーズ」以降、iPhoneは「サイズの大きなハイエンドモデル」と「スタンダードモデル」に分かれていた。
「iPhone X世代(2017年)」以降はディスプレイで差別化するようになり、2019年から、現在の「スタンダードモデル」と「Proモデル」が分かれる形になっている。2020年には、スタンダードが小型の「iPhone 12」と「mini」、Proラインが「iPhone 12 Pro」と「Pro Max」の4ライン構成に変化した。
2020年にデザインの大幅変更があったことを受けてか、2021年もラインナップの方針は同じだ。性能的にも、「13」「13 mini」というスタンダードラインと、「13 Pro」「13 Pro Max」のProラインで分かれている。
一見12世代と13世代は同じラインナップ構成のまま進化したように見えるが、実際には少し違う。12世代でProラインが「プロフェッショナルなど、カメラにこだわる人」向けに進化したことを、さらに突き詰めたような変化になっている。
13 Proシリーズはカメラ周りの性能が大幅に刷新されている。
光学3倍のズームイン(12 Proは2倍、12 Pro Maxは2.5倍)やマクロ撮影など強化が進み、望遠カメラでのナイトモード撮影にも対応した。「暗いところでの撮影」にさらに強くなり、プロ向けの動画撮影で使われるフォーマット「ProRes」での4K・HDR撮影にも対応する。ARやピント合わせに使われる「LiDAR」も、引き続きProシリーズのみに搭載されている。
有機ELディスプレイも最大毎秒120コマ表示対応になり、表示がなめらかになる。
これは他社のハイエンドスマホが先行していた部分だが、アップルもキャッチアップしてきた。一方アップルが採用したディスプレイでは、用途に合わせて描画頻度を毎秒10コマから120コマの間で変化させることで、消費電力を抑える仕組みも導入されている。25%明るくなり、屋外での見やすさも改善されたという。
そうした機能をカバーするためか、13 Proシリーズでは、スタンダードモデル(iPhone 13)とはプロセッサーの構成を変えてきた。
名称こそ同じ「A15 Bionic」なのだが、グラフィック処理に使われるGPUのコア数が、スタンダードモデルより1つ多い「5」に増えている。これまでも搭載されているメインメモリーの量がスタンダードとProでは異なる場合もあったのだが、今回はさらに、処理性能面でも差別化を図っている。
iPhone 13は「コスパが上がった」…ストレージもバッテリーも増量
これだけ性能が高いならProの方が……という気持ちにもなるが、やはりProは価格も相応に高くなっている。スタンダードモデルである「iPhone 13」とハイエンドモデルの「iPhone 13 Pro」を比較した場合、もっとも安価なモデル同士でも、2万4000円もの価格差がある。
サイズが小さな「iPhone 13 mini」との比較だと差は3万6000円に広がる。iPhone 12シリーズのデビュー時に比べて、iPhone 13シリーズは若干価格が上がっており、負担は小さなものではない。
一方で、今回はiPhone 12世代に比べ、スタンダードモデルのお買い得度が増している。
iPhone 12はストレージが64GBからだったが、iPhone 13では128GBからになり、Proと同じになった。Proにのみ、最上位モデルとして「1TB」が用意されたが、それはまさに、「プロ向けだから」ということだろう。
実際、64GBでは不足気味だが、128GBとなれば多くの人が満足できる可能性が高く、コストパフォーマンスは改善している。
プロセッサーの改善とバッテリー搭載量の向上によりバッテリー動作時間が長くなったのもiPhone 13世代の特徴なのだが、これもスタンダードモデル・Proともに共通の傾向だ。
特に小さくてバッテリー動作時間が他のモデルよりも短かった(15時間)「mini」が、iPhone 12と同じ「17時間」動作に変わった点は大きい。もちろん、他のモデルはさらに伸びているのだが……。
カメラの面でも、iPhone 12世代ではPro Maxだけに搭載されていた「センサーシフト光学式手ぶれ補正」がスタンダードモデルにも搭載になり、差が一つ小さくなってはいる。
「シネマティックモード」をPro限定にしなかった理由
しかし、なによりのポイントは、今回の進化点である「動画撮影の進化」がProだけでなくスタンダードモデルでも楽しめる、ということだろう。
iPhone 13シリーズでは、新しく「シネマティックモード」という動画撮影機能が搭載された。
これは簡単に言えば、「被写体に注目して他をぼかす」撮影を、映画のようにシーンの変化に合わせてフォーカス点を変えていけるものだ。
フォーカスの変化は、映画では視線誘導のために広く使われているテクニックだ。映像を見ると「お馴染み」の感じを受けるのだが、実際に撮影する場合には、ストーリーに合わせてフォーカス位置を自分で変える、という作業が必要になる。
「物理的に手で回せるレンズがない」スマホでは、これが難しい。
iPhone 13に搭載される「シネマティックモード」では、どこに人物が写っているのか、人物が振り向いたかどうかなどを「機械学習の力を使って自動判定」する。ここがポイントだ。
撮影する側が特別な作業をしなくても、「映画で見たような視線誘導のある映像」になる。また、撮影した動画には奥行き情報が付加されているため、撮影後にフォーカスを調整することだって可能だ。
こうしたことは、従来は静止画ではできていたが、動画では使われてこなかった。特に、人物の移動や振り向きなどを認識して、フォーカスをリアルタイムかつ自動で変えるという要素は特徴的で、高性能なプロセッサーを持つスマホでしかできない要素とも言える。
カメラの性能は異なるものの、撮影に関する面白そうな機能は「iPhone 13世代共通の特徴」であり、スタンダードモデルでも十分に楽しめる。ストレージ容量が128GBからに増えたことも、そうした変化にとってはプラスである。
なお、指紋センサーの搭載は今回もなく、ハードウエア的には比較的穏当な進化、といってもいい。それを不満に感じる人もいるだろう。
一方で、「コンピュテーショナル・フォトグラフィ」と呼ばれる、機械学習を活用してソフトの力で撮影する要素の追求に関しては、iPhone 13世代はとてもアグレッシブだと感じた。別の言い方をすれば、アップルは「一眼でも業務用ビデオカメラでもできない撮影手法」に積極的にトライしている。
そうした部分は、スタンダードモデルでもProでも存分に楽しめる。出費を抑えて「今のスマホカメラの最先端を手に入れる」という観点ならば、iPhone 13シリーズのスタンダードモデル2機種は注目の存在と言える。
(文・西田宗千佳)
GoogleMap↓
Google口コミ↓
https://g.page/r/CVujNSMdCrOoEAE
ブログ育成中
ホームページ↓
https://smartcool-fushimi.com/
予約サイト↓